資料室 ソーヤル

ソーヤル

ホピ族の冬至祭

SOYAL

The Hopi Winter Solstice Festival

ビル・アンダーソン

by Bill Anderson

 アリゾナ州の北部では、12月下旬の冬至がカチーナの季節の始まりとなります。

 アメリカ南西部のアリゾナ州を、幸運にも私は何度も訪れることができました。あるとき私は、北米の先住民、ホピ族の居留地に行くことを決意しました。第2メサ山の平らな頂上までドライブをすると、はるか西方に神秘的なサンフランシスコピークスの壮麗な眺めを望むことができました。以前は、北、西、南側から見たことがあります。これらの山頂群を見たとき私はいつも魅了され、グランドキャニオンの南、そしてフラッグスタッフの北側にあるコロラド平原にそびえ立つこの火山の3つの頂きに、深く聖なるものを感じました。サンフランシスコピークを形成している3つの主峰はハンフリーピーク(3,850メートル)、アガシズピーク(3,750メートル)、フレモントピーク(3,640メートル)と呼ばれています。

聖なる山々

Sacred Mountains

サンフランシスコ連峰

 ポンデロサ松の森林堆積層からそびえ立っている壮麗なサンフランシスコピークは、多くの森と高山性動植物の生息地からなっていて、様々な野生生物の住処です。160キロ離れた所からでもアリゾナ州で最も高いハンフリーピークを見ることができます。

 サンフランシスコピークはフラッグスタッフのすぐ北側に位置しており、西の「ドコ・オオ・スリイド」(頂上の輝き)と呼ばれるナバホ族の聖なる山です。それは重要な境界のしるしであり、呪医が治療の祭礼のためのハーブ草を採集する場所です。ナバホ族はサンフランシスコピークが一族の正当な西の境界であると信じています。この人達の神話では、この自然の景観は「ディイチリ」(アワビの貝殻)、〈黒い雲〉、〈雨の男〉、そして動物のすべてによって光彩を添えられていて、さらに「ハアシヒ・エエリト・イ・イ」(語る神)、「ナアダ・アルガイイ・アシュキイ」(白いトウモロコシの少年)、「ナアダ・アルツォイイ・アトエエド」(黄色いトウモロコシの少女)の住まいでした。ナバホ族はこれらの山が精神と肉体の双方を治療する力を持っていると信じています。

 この峰々はおよそ13の部族にとって聖なるものです。ホピ族にとってこの連峰は「ヌバトゥカオヴィ」(頂上付近の雪の場所)であり半年の間、祖先の「カチーナ(Kachina)」、すなわち頂上を囲む雲の中に住むカチナ精霊(Katsina spirits)がいる場所です。歌と祭礼で正しく敬われた場合、のどの乾いたトウモロコシにカチーナたちは穏やかな雨を運んできて、畏れと敬意とともに崇められます。カチーナたちはホピ族の人々とその生き方の特別な守護者であると考えられていて、この精霊が住んでいる山頂は「目に見えない世界と擦れて、大地が磨かれた聖なる場所」のひとつと見なされています。

カチーナ

The Kachina

 北部アリゾナのホピ族にとって、周囲の世界との調和を維持するのは最も大切なことです。

 カチーナは超自然的な存在であり、霊の世界からのメッセンジャーとして表われます。カチーナはホピ族の人々にとって友人であり、訪問者であり、人々に贈り物と食物をもたらす者です。自分たちの住処に帰るときには、カチーナたちは豊かな暮らしと、豊かな実り、雨と健康をお願いされます。カチーナは善い人々の魂であると信じられていて、かつては善良な人生を送って、様々なカチーナの姿として戻ってきたと考えられています。一部の人はそう考えていますが、カチーナは神ではありません。ホピ族はカチーナを崇拝してはいません。ホピの幸福に関心のある友人かパートナーとしてカチーナに人々は接しています。物質としての形を持たないカチーナと交流することは容易ではありません。そこで人々は衣装をつけてカチーナに扮します。化粧をし、シンボルをつけ、動きや衣装で人々は物質でないものに実体を与え、このようにしてホピの世界の2つの部分の間の橋渡しとなります。踊りや儀式でカチーナの仮面をつけたホピの人々は、特定のカチーナの霊を帯びると信じられています。部分的に人間で部分的にカチーナであるこの状態では、ホピの必要としているもの、雨、トウモロコシ、獲物の動物がより明確に伝えられます。

 カチーナは動物から雲までの様々な存在を代表していて、ある種の階級的序列があると信じられています。カチーナの最高の位は「エオトト」と「アホリ」です。「ヘ・エ・エ」は〈少女の戦士〉の女性指導者です。これらの戦士のカチーナの中にはこの諸霊を指導するリーダーも複数います。「エウィズロ」はその一人です。「エウィズロ」は他の戦士のカチーナを伴って、最上位の諸霊のための儀式であるカチーナの昼の踊りにのみ現れます。協力的な個々の振る舞い、そして人々の行為の様々な成り行きのようなメッセージをカチーナの一部がもたらします。

 ホピ族には250を越えるカチーナが知られています。カチーナは12月から始まり7月まで続く季節の区切りにホピのメサと呼ばれる諸都市に現れます。12月に〈第3メサ〉に「クォクォレ」が最初に到着し、もっと多くのカチーナが来られるように「キヴァ」(後述)を"開き"ます。カチーナはひょうきんな振る舞いで訪れ、過去の収穫から作物をもたらします。この時、カチーナの新しい周期が始まります。そのすぐ後には夜の踊りが始まり、1月から3月まで続きます。カチーナの昼の踊りは3月から7月まで催され、「ニマン」という故郷の踊りで終わります。そしてカチーナたちはサンフランシスコピークの自分たちの住まいに戻ります。

ソーヤル(冬至祭)

Soyal

 12月から7月の半年間は、カチーナがプエブロ(村々)に形として表現される時節です。最初の主要な祭礼は12月に行なわれる「ソーヤル」であり、それは太陽の帰還(冬至)を、そして山々の住まいから村へのカチーナの帰還を祝うものです。カチーナの季節は「キヴァ」を開ける儀礼で始まります。「キヴァ」は精霊あるいは下界への入り口であると信じられている地下の儀礼的な部屋です。通路が一度開かれると、7月の終わり頃に道が閉じられるまでは「キヴァ」からカチーナが行き来するのです。「キヴァ」が存在している間、カチーナは世界を再生する手助けをし、成長の来るべき季節のために世界を整えます。カチーナはあるものには懲らしめをもたらし、適切な振る舞いの全てに指導を与えますが、最大の贈り物は幸福と健康、生命です。

 「キヴァ」は東方にあるカチーナの寺院からやって来るソーヤル・カチーナによって開かれます。彼はトルコ石のマスクと白いローブを身につけて現れる最初のカチーナです。村に到着すると特別に選ばれた場所で4回立ち止まります。それから彼はカチーナの寺院に戻ります。次の日に、恐ろしいマストップ・カチーナが現れます。その姿は全身黒づくめで、黒い兜の両側にはオリオン座の三つ星を表している3つの白い星がついています。次の日には重々しい雰囲気の中で、厳かにそして秘密裏にソーヤルが正式に始まります。

 ソーヤルは季節の転換点における浄化であり、生命の帰還を祝う再生の祝典であり、一年で最も昼の短い日の直前の新月から始まります。主要な儀礼は冬至までのおよそ8日間に行なわれ、創造と再生の儀礼を含んでいます。太陽の盾を持っているものに対して見せかけの攻撃がなされ失敗します。これは冬の暗闇に対する太陽の勝利を象徴しています。太陽が戻って来るのを導き、芽を出したばかりの生命に強さを与えるのを手助けすることに、ホピの人々はこの儀式を捧げていると言われています。ソーヤルの月は20日間続き、「パホ」と呼ばれる祈り棒の製作、浄化の祭礼、締めくくりのウサギ狩りと饗宴、祝福を含んでいます。

 ソーヤルは生命の夜明けにおける〈創造〉の第2の局面を象徴しています。それは翌年のために、生命の成長のパターンを受け入れ、確かなものにします。それはしばしば「ソーヤルラングウル」(世界全体のために生命の再生を確かにすること)と呼ばれています。この祭礼は太陽が夏の道に戻り、その年の命の計画を実行する手助けをしています。様々な活動がキヴァで行なわれ、敬虔な沈黙と断食、謙遜な行いを含み、霊的な集中を達成するための聖なる食事が行なわれます。「パホ」の祈りの羽があらゆる目的で男たちにより用意され、家々や村、寺院の敷地内の祖先の住処の周囲に置かれます。

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラ十字」(No.110)の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

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