資料室 サイキックな体験に関する思い違いを避けるために

サイキックな体験に関する思い違いを避けるために

サイキックな体験に関する思い違いを避けるために

Illusions

アン・フォントノア

by Anne Fontenoy

 バラ十字会の世界総本部元代表であったラルフ・M・ルイスの著書「内部自我中の聖所」には、「落とし穴(The Pitfalls)」という題の章があります。

 その中に「サイキック能力を持つ人に起こる思い違い」(Illusions of the Psychic)いう一節があり、ラルフ・ルイスはある女性会員の体験について考察しています。彼女は「ある種の宇宙のエネルギー、もしくは創造主のエネルギーで身体が満たされていた」と考えていました。しかし実際には、この体験の原因は、ある特殊なカーペットの上を歩いた時に静電気が体に蓄積されただけであり、神秘的な体験ではなかったことが調査の結果判明しました。

 自身の主観だけに基づいて、ある体験を解釈してしまうと、客観的に見たときには、最初の解釈がいつも正しいとは限らないという事実をこの例は浮き彫りにしています。この世界には、思い違いや錯覚が生じる多くの例が存在しています。たとえば、2本の平行な線路が続いているのをはるか先まで眺めると、遠くの一点で交わっているように見えます。しかし、これからご紹介するような検討を行なうと、サイキック体験の意味を理解しようとする場合に起こる可能性があるいくつかの落とし穴や、そもそも、そのような落とし穴が生じる理由を明らかにすることに役立ちます。

サイキックな印象

Psychic Impressions

まず初めに、「サイキック体験」とは何を表しているかを明確にしておきましょう。そのためには、今から数十年前に発行された「バラ十字会用語集」(Rosicrucian Glossary)という小冊子に書かれた定義が適切であると思います。

 「サイキック体験:物質からなる世界だけに反応する意識レベルを超える、あるいはその意識レベルの背後に潜んでいる高次の意識レベルに関連する現象のこと。この現象の原因は、他の人の心から伝えられた内容であったり、体験している人の外部に存在する宇宙のさまざまな力や知性から伝えられた内容であったり、あるいは宇宙意識と通じたことによって伝えられた内容である。サイキック体験を認識するためには、その現象を、五感の感覚や、五感の感覚に関連する観念を表すときの言葉に翻訳する(translate:解釈する)必要がある。」  すべての人にはサイキックと呼ばれるレベルの秘められた知覚能力(いわゆる超常能力)があり、通常の五感である視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を補っているということが、バラ十字会の学習では扱われています。人によって程度は異なりますが、この能力によって、サイキックな視覚、聴覚、臭覚、味覚や、サイキックな触覚さえ得ることができます。疑わしく思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、通常の五感に対応して存在するサイキック知覚を使いこなせるようになった人は無数に多くいて、この見解を支持しています。一部の人は、生まれながらにしてサイキック能力を持っているようです。そのような人は、他の人々よりもサイキックな印象に敏感に反応する高次の意識とともに、その人生を開始します。しかし、大部分の人の意識のサイキック面は、一生を通じてほぼ完全に眠った状態であり続けます。

 バラ十字会では、この内的な知覚能力と同調する方法や、通常の五感を補うためにサイキックな知覚を用いる手法を提供しているので、会員は、紛れもない「並行宇宙」という体験に向けて自らの可能性を広げていくことができます。この記事では、サイキックな現象の解釈を誤った場合に遭遇することになる落とし穴について、いくつかの検討を行いたいと思います。サイキックな印象は、なぜ誤って解釈されることがあるのかを理解する鍵は、先ほどの定義の中にあります。「サイキック体験を認識するためには、その現象を、五感の感覚や、五感の感覚に関連する観念を表すときの言葉に翻訳(解釈)する必要がある。」

訳注:並行宇宙(parallel universe):物理学やSFでは、この世界と分岐して、それと並行して存在する別の世界を意味する。この文脈では、五感で認識する世界とサイキックな知覚能力で認識する世界の2つのこと。

 著書「内部自我の中の聖所」に書かれている落とし穴の例では、サイキックな印象をどのように解釈するかに注意を払うだけでなく、その現象が、そもそもサイキックな原因で生じているのかを確認する必要も警告されています。この警告は、物質からなる世界を超えて広がる意識を探究しようとする熱意にブレーキをかけることを意図してはいません。しかし、日常の世界で必ずしも気づかれているわけではない精神の領域を探検しようとする人のために、この警告はガイドとして役立ちます。

解釈

Interpretation

 私たちは、サイキックな知覚能力を通じて、見る、聞く、においを嗅ぐ、味わう、触感を得るという経験をすることができます。しかし、このようなサイキック能力は、単なる経路に過ぎないことを心得ていてください。つまり、この能力という経路によって、意識下の現象が、五感を扱う通常の意識に伝えられているのです。バラ十字会の哲学では、現実世界の根底には「実在」と呼ばれるものが存在しているということが説明されます。この実在は、大部分の人が決して経験することがないものですし、それを経験しないことには正当な理由があります。感覚器官を用いて外界を知覚する生物は、人間を含めいかなる生物であっても、"実在"そのものを知ることは決してできません。人間の脳や神経の能力や知識には限界があります。そのため、人間の解釈の能力には限界があり、実在そのものを体験することができないのです。肉体のレベルにおいてもサイキックなレベルにおいても、「自身の現実世界」すなわち「自身が実際に知ることができること」は、解釈された実在、つまり、体験の背後に存在する実在を自身が解釈したもの以上の何ものでもありません。そのため、私たちが把握している現実世界は、はるかに深いところに存在する何かが表に現れた表層的なもの、すなわち幻影にしか過ぎません。しかし、そうであるとしても、非常に貴重であり、満足感を与えてくれる、意味のある幻影です。この幻影は、極めて的外れである場合もありますし、体験した実在に極めて近い場合もあります。この極めて的外れな場合は、サイキックな印象をともなう体験に起こりがちです。そしてそのとき、私たちはたいてい、目の前の現象を誤って解釈しています。つまり、サイキックな知覚の背後に働いている作用についての私たちの理解は、正確というにはほど遠い場合が多く、サイキックな知覚能力が印象を正確に受け取っているにもかかわらず、その印象の多くが、ひどく誤って解釈されているのです。さまざまな種類のサイキックな知覚能力を、互いに補うように働かせたとしても、正確性という意味で、五感の知覚には及ばない場合が時として起こります。このような誤りが起こる最大の理由は、私たちの心そのものの限界と、自分が体験したことの解釈にあります。

 私たちは誰もが、政治や社会に対する考え方、どのような社会で育ったか、幼児期のしつけ、教育、現在の気分などの、その個人に特徴的な傾向によって、正しい解釈を妨げられています。これらの傾向は、サイキックな体験をどのように認識するかに直接関わっています。このことは先ほども述べたサイキックな体験の定義の一部と関わっています。「サイキック体験を認識するためには、その現象を、五感の感覚や、五感の感覚に関連する観念を表すときの言葉に翻訳(解釈)する必要がある。」そして、私たちが行うこの翻訳(解釈)は、正確でない場合があります

 もしかしたらあなたも、最初の印象でサイキックな原因があると考え、そのようなものとして解釈したけれども、実際にはまったく物質的な原因の現象であり、もしも本当の原因を最初から理解していたならば、完全に異なる解釈をしたであろう思い違いを、いくつか実際に体験されているかもしれません。自分には、サイキックな知覚の能力があると考えている人は多くいます。しかし、サイキックな印象の解釈には誤る可能性があるということに気づいている人はそれほど多くありません。サイキックな印象は、そのままでは単なる漠然とした印象でしかなく、極めて重要なことは、その印象をどのように解釈するかということです。ある種のサイキックな体験を、誤って解釈してしまうこともあります。しかし、何が起こったのかを誤って解釈してしまうという問題点のほかにも、さらに配慮すべき別の要点があります。

 サイキックな体験から生じる、解釈時のこのような思い違いは、その体験をしている本人の、現在の個人的傾向が原因で生じます。私の考えでは、サイキックな領域に関わる体験のすべてに、解釈の誤りがつきまとうわけではないのですが、しかし、サイキック体験を解釈する際には、先入観を排除した柔軟な受け止め方を心がけて、サイキックな印象のすべてを、適切に見たり聞いたりしているかどうかという点をもう一度よく考え直してみる必要があります。

 このことを念頭に置いておくならば、私たちは、実用的で役に立つサイキックな印象を見たり、聴いたりできる可能性を広げることができます。たとえば、他の方法では伝えることのできない重要な事項に関するメッセージをテレパシーによって伝えることができます。また、先ほどのバラ十字会用語集の定義にあったように、他の人の心から伝えられた内容であったり、体験者の外部に存在する宇宙のさまざまな力や知性から伝えられた内容であったり、あるいは宇宙意識と通じたことによって伝えられた内容に関する体験を受け取り、心の内側の世界の豊かさに対して、自己の可能性を広げることができます。

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラ十字」(No.135)の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

参考文献
ラルフ・M・ルイス、「内部自我の中の聖所」、1978年、米国、サンノゼ、バラ十字会AMORC世界総本部発行、ISBN: 091205753X2。

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