資料室

苦しみという錬金術の火

The Alchemical Fire of Suffering

トーマス・ムーア

by Thomas Moore

 錬金術の火は卑金属(訳注)を純金に変えます。しかし、錬金術というこの比喩で、火は何を意味しているのでしょうか。また、不純物や金は何を意味しているのでしょうか。火は苦しみ、不純物は悪習、そして金は完全であることを象徴しているというのがその答です。実際のところ、火で象徴される苦しみが人生に訪れたとき、あなたは感謝すべきなのです。なぜなら、火がなくては、自身を浄化するという作用が起こらないからです。同様に、火で象徴される苦しみがない場合には、休息と心の平安が与えられていることに、あなたは感謝すべきです。あなたは、絶え間なく苦しむことを定められている訳ではありません。苦しむのは、それが必要とされるときだけです。

訳注:卑金属(base metal):貴金属に対する語。鉄、アルミニウム、亜鉛などの容易に錆びる安価な金属。

 では、苦しみのこの火とは、どのようなものなのでしょうか。その目的は何なのでしょうか。苦しみの火には、さまざまな種類があります。いくつかの例を挙げるとすれば、肉体的な苦しみ、精神的な苦しみ、経済的な苦労、社会で役に立つことができないことなどです。チベットの写本『汝に我は授ける』の「人生の摂理」の章にはこのように書かれています。「極めて厳しい体の苦痛は、ほんの束の間しか続かない一方、長く続く苦しみは穏やかである」。精神的な苦しみが生じているということは、多くの場合、体か心が〈宇宙精神〉と同調していないことを示すしるしなのです。金銭的な苦労と社会的な問題もまた、通常、同調していない状態の表れです。何かが適切ではないのです。そうした不調和が引き起こす苦しみを和らげたり、苦しみの原因を取り除いたりするために行動することができるということを、あなたに思い出させるために、火は存在しています。

 要するに、〈宇宙〉の法則のことをあなたに思い出させるために、〈自然〉は火という方法を使うのです。あなたは何らかの点で、〈宇宙〉のある法則に違反しています。そして究極の完全性という目標に向かってあなたが進歩するのを助けるために、〈宇宙〉があなたにレッスンを提供しているのです。

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラ十字」(No.135)の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。

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