資料室

バラ十字古代エジプト博物館のコレクションから 〜古代エジプトの香炉〜

Treasures from Rosicrucian Egyptian Museum 
〜 Incense Burner - RC 2081 〜

香炉、エジプト末期王朝
青銅製、長さ55cm

 この美しい遺物は、古代エジプトの香炉です。神殿の聖所の中でも最も神聖な場所で使われていました。おそらく、エジプト南東部のナイル川沿いの町エドフにあるホルスの神殿で使用されていたものです。香炉の後ろ側の先端にはハヤブサの頭部の装飾があり、ホルスと、そしておそらく太陽神であるラー・ホルアクティ(訳注)とを象徴しています

訳注:ラー・ホルアクティ(Ra-Horakhti):「ラー」は古代エジプトの創造神話に登場する太陽神。「ホルス」と呼ばれる神には、ラーの息子であり天空と鷹の神であるホルスと、オシリスとイシスの息子であるホルスの2神がいるが、後に同一視されるようになった。ホルアクティは「地平線上のホルス」のことで、やはり太陽神を意味する。ラー・ホルアクティはこの2神が習合した神。

 ホルスは古代エジプトの王権を司る神でした。ホルスへの崇拝は、王や他の地上の統治者に敬意を表すことであると同時に、空を支配している太陽への崇拝でもありました。ホルスはイシスとオシリスの息子でした。オシリスは死後、妻イシスの魔力によって生き返り、2人の間にホルスが生まれたことから、ホルスは不死を象徴するようになりました。

 この香炉は、手で水平に支えるようにして使用されました。片方の先端にある手の形をした部分には、熱した木炭を詰めた小さな容器が置かれました。柄の中央には、カルトゥーシュの形をした小さな容器が付いています。カルトゥーシュとは、国王の名を表す文字を囲んでいる楕円形の装飾のことです。カルトゥーシュの形をした容器のすぐそばには、ファラオの小さな像があしらわれています。この容器に、樹脂から作られた香の固まりが入れられました。両端にあるハヤブサの装飾と木炭の容器によって、重さの釣り合いが保たれています。

 この香炉を使用したのは、王その人か、王の代理を務める神殿の司祭長です。燃えている炭に香の固まりを入れるときには、ピンセットのようなものが使われました。香から巻き上がる壮大な煙は、神殿の中を没薬と乳香の甘い香りで満たしたことでしょう。古代エジプトの人々は、この煙のことを神々の精神そのものが香気として漂っているのだと考え、この香りによって、神殿の中やその近くにいる人々は誰もが、神々の精神と心を通わすことができると考えました。

リサ・シュワッパハ・シリフ、文学修士
バラ十字古代エジプト博物館学芸員、副館長

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